今回の患者さんは私の主人。
先週健康診断がありまして
仮結果が戻ってきましたのですが
少し驚愕しています。
・HbA1cが8.8%
・空腹時血糖値190
でした・・・
ちなみに基準値は
・HbA1c 5.5%以下
・空腹時血糖値 70~99mg/dl
です。
HbA1cは採血から過去1,2ヶ月間の平均血糖値を反映し
糖尿病の診断に用いられます。
ということは、
何らかの原因で血糖値がずっと高い状態が続いていると考えられます。
なにせ空腹時でも血糖値が190あるので
血糖値を下げるホルモンのインスリンが分泌量が少ないか
インスリンの働きが悪いと
思うのです。
どうして
インスリンの分泌が少なくなったり
インスリンの働きが悪くなるのか
少し調べました。
もともと日本人は欧米人よりインスリン分泌能が低いのですが
食事の欧米化で高カロリーで高脂肪な食事をするようになって
体がついていけてない状態なのです。
それに加え、便利な乗り物の発達で運動不足になりがちです。
この
高脂肪食の摂り過ぎと運動不足が
内臓脂肪を蓄積させ、インスリンが働きにくくなる
原因だと言われています。
もう少し詳しく説明をすると
食べすぎ、運動不足などでエネルギーが過剰になると
白色脂肪細胞が肥大化、増加(内臓脂肪の蓄積)が起こり
白色脂肪細胞によって分泌される
アディポネクチン(インスリンの働きを良くする物質)が減少し
逆にインスリンの働きを悪くするTNF-αが増加します。
やがてインスリンを分泌する膵臓はインスリンを出すのに疲れてしまって、
インスリンが出なくなってしまうのです。
そんなときに糖分が高いお菓子や食事をすると
ずっと血糖値が下がらなくなるのですね。
ちなみにどうして血糖値が高い状態が良くないかというと
怖い合併症があるからです。
血液の濃度の高い血糖は血管を傷つけます。
その中でも先に傷がつくのは
毛細血管という細い血管です。
糖尿病の3大合併症
網膜症
腎症
神経障害
で
私の知り合いにはこの全てになってしまった方もいます。
目が見えなくなり
週に3,4回透析のため病院に行き
足の指を切断しています。
ここまで来てしまったら
もう戻れないのです。。。
なので糖尿病は放っておかずコントロールする必要があります。
では
落ちてしまったインスリンの働きを改善するには
どうしたらいいのか?
結論は簡単です。
高脂肪食と運動不足が原因なら
適切な食事療法と運動療法で
血糖値の大幅な是正ができるとのことです。
食事と運動の改善で内臓脂肪が減ってくると
アディポネクチンが分泌されるように
インスリンがちゃんと働くようになります。
そしてそこで糖質もしっかり上がりにくい状態にすれば
自然とHbA1cも減っていくでしょう。
内臓脂肪が多いか少ないかは
腹囲を測れば良いので簡単です。
男性で腹囲85cm
女性で腹囲90cm
これ以上になると
内臓脂肪面積100cm以上に相当になり
メタボリックシンドロームの判定の必須条件に
当てはまります。
女性(特に閉経前)は
女性ホルモンの関係上
妊娠機能を維持するため
内臓脂肪は付きにくいのですが
その代わり皮下脂肪が付きやすいので
男性よりも腹囲の基準が多めになります。
内臓脂肪型肥満に
高血圧、脂質異常、高血糖のいずれか2つ当てはまると
メタボリックシンドローム認定です。
とにかく、ぽっこりお腹をなんとかしたいですね。
また食事や運動については
別の記事にまとめたいと思います。
とにかくは
糖尿病がどうして怖い病気なのか
糖尿病になる原因を理解すること。
80年を超える平均寿命の日本において
どう元気なまま老後を過ごしていくか
とても大事なことだと思います。
食事や運動改善なんて無理!
と言う方は多いです。
が、
目が見えない
透析をしないといけない
寝たきりでいないといけない
そんな老後を迎えたいですか?
全てを一度に100%変えるのは無理なのは当たり前です。
何か一つずつでもいいから変えることができたら
自分の自信に繋がっていって
楽しい老後に繋がるはずです。
現役でバリバリ働いて
やっとゆっくりできると思った矢先
病気になってしまったら…
私の父は61歳でなくなりました。
孫を抱きかかえることもできず
無念だっただろうと思います。
一人でも多くの人がそういうふうにならないため
健康寿命の大切さや
どのようにやっていくかを伝えていくことが
私たち医療人の大きな使命だと思っています。
コメント